設立の経緯

 

「主婦歓迎」の在宅業務はなぜ給料が安いのか

最近は男性も産休・育休を取ることが増えて、父親が保育園の送迎をするのも当たり前になってきました。しかしその一方で、育児に理解のない職場もいまだに多いのが現実です。そのような中で、核家族で夫婦共に正社員として勤めるのは、かなり難しいことだと思います。

かといって、結婚や妊娠で退職した女性が再就職するのはもっと大変です。正社員や常勤では、子供の急な発熱や平日の学校行事への対応が難しくなり、常勤ではない近隣の仕事を探すと、最低賃金のパートや、単価の安い在宅ワークぐらいしかできないのが現実です。
ところが在宅ワークによくある、データ入力や原稿作成、通信教育の採点などは、高度で専門的な知識や技術を必要とする業務であっても、びっくりするほど単価が安いことがほとんどです。1件あたり数千円でも、時給に換算するとたった数百円といった案件も珍しくありません。なぜこういうことができるのでしょう。

企業が誰かを雇う場合には、労働保険料や社会保険料などを支払う義務と最低賃金が定められており、東京都の最低賃金は900円台半ばあたりになっています。
ところが「業務委託契約」を結び、主婦を“個人事業主(個人で仕事を受発注している人)”として扱うと、会社は社会保険料を負担せず、最低時給を保証しなくてもよくなります。つまり、高度な知識を持つ人が2時間かかる仕事でも、「1600円」という価格設定(=時給換算で300円)で主婦に依頼できるのです。「女性を応援する企業」の中には、こうして合法的に低賃金で働かせる仕組みをつくっているところは決して少なくありません。「主婦=低賃金」という偏見を利用した、いわゆる“貧困ビジネス”の一形態と言えるでしょう。

 

仕事のクオリティに応じた収入を得てこそ「女性活躍社会」

主婦の賃金が低いのは、子供がいるため「自己裁量で働きたい」「働く時間に制限がある」という時間的な問題のほか、会社人経験が浅い(勤務から離れて長い)ために「ビジネスマナーなどの常識に欠ける」「仕事の品質が低い」などが理由として挙げられます。実際にそういう人がいることも事実でしょう。

しかし、多くの在宅主婦は、真面目に仕事をこなしています。以前、私自身が在宅で仕事をしている時に、他の在宅ワークの方々が納品したデータの最終チェック業務を任されたことがありました。納品する主婦の皆さんの技術力の高さは一流企業と遜色のないレベルで、一切手を抜かず、本当に頭が下がりました。そして納期も100%守っていました。

しかし規定を忠実に守り、タイトなスケジュールで高いクオリティの仕事をこなす人でも、「在宅で自由な時間に働けるから」というだけで低賃金に甘んじているのです。こうした経験から、現状を何とか打開したいという思いが芽生えてきました。

 

自由な働き方と納得のいく報酬を両立させるには

政府は「女性が活躍する社会を目指す」ことをスローガンの1つに掲げていますが、それは女性が持てる能力を発揮して、その仕事の内容にふさわしい報酬を得られてはじめて「活躍」と言えるのではないでしょうか。

今後女性が活躍するには、「これから成長する市場」において「女性が結婚・出産しても稼げる、ゆるぎないスキルを身につける」ことが必要となっていくでしょう。そこで注目したのがITです。
政府は2017年に、以下の5分野に大きく投資をしていくと宣言しました。
「健康寿命の延伸」
「移動革命の実現」
「サプライチェーンの次世代化」
「インフラ・まちづくり」
「フィンテック」
これらの分野では、AI(人工知能)、IoT3DCG技術、VRなど、すべてICTに関わる技術が必須ですが、現状では技術者が全く足りません。現在は17万人、2030年に80万人近くが不足するだろうと経済産業省が試算しています。

 

IT技術は、テレワーク(職場を固定せず場所や時間にとらわれない働き方、在宅勤務)と相性が良く、結婚や出産、家族の転勤などの事情に左右されにくいのが特徴です。またIT産業における業務は、“単価が高い”ことも大きな魅力の1つです。もし、多くの女性がITスキルを手に入れられれば世の中が変わるかもしれない、そう思いました。

 

「クリーン&ビルド」に込めた想い

女性たちが本当に活躍するための社会を作るには、古い因習や非効率・非合理な固定観念・しくみを解体して、一から新たに作り上げる「スクラップ&ビルド」をしていく必要があります。それにちなんで「クリーン&ビルド株式会社」という社名にしました。

事業の柱は2つ、「ITに関する教育事業」と「情報システム開発の受託事業」です。女性だけでなく、画一的な企業勤務になじめない人、本業とは別にクリエイティブな仕事をしたい人、自分のペースで働きたい人、さまざまな人たちがITスキルを身につけて、楽しく幸せに働いてもらいたい、という想いを込めました。

私たちは、多くの人たちのITスキル向上によって日本の社会に貢献していく企業を目指します。

 

代表取締役 小林やこ